本年4月から施行の改正マンション管理適正化法に基づいて
都道府県が設けることができる管理計画認定基準のひとつである名簿は
区分所有者名簿と居住者名簿とされています。
認定基準では、この二つの名簿について
区分所有者等への平常時の連絡、
災害時に迅速な対応を行うため備えると記されており、
1年に1回以上は内容の更新を行っていることとされています。
事前確認等の際には、名簿の提出までは求められていません。
「表意保証書」等にて確認することとなります。
事前確認の際は、2つの名簿の備えと年1回以上の更新、
マンション名と所在地の記載を確認することとされています。
「表意保証書」が管理計画認定手続きの際に提出する書類の一例となります。
その作成例も公表されています。
認定基準では、このようになっていますが、
これらの名簿について少し考えてみました。
区分所有者名簿はほとんどの管理組合にあると思われます。
マンション標準管理規約(以下「標準規約」と表記)第64条には
作成・保管・閲覧についての規定があります。
理由の一つとして、
組合員(区分所有権を有する者)の確認が必要であり、
総会の招集や管理費等の徴収などの事務に必要とされることによると考えられます。
居住者名簿はどうでしょうか?
標準規約には、居住者名簿という名詞は出てきません。
しかし、居住者間のコミュニティ促進に関しての行事計画などに必要となることも考えられます。
また、区分所有者以外の役員資格などの規定がある場合にも確認のため必要かもしれません。
そして、認定基準にあるように災害時の対応のため、
区分所有者名簿と同様に備えが求められることが考えられます。
これらの名簿について、
みなさんのマンションに備えられているかどうかご存知でしょうか?
見たこともないという役員の方もあるのではないでしょうか。
では、その様式はどうなっているのでしょうか?
一枚の表でしょうか?
それとも専有部分ごとのものをファイリングしたものでしょうか?
名簿に記載されるべき内容は必要なものが揃っているでしょうか?
そして、どこに備えられているのでしょうか?
管理会社に管理業務を委託されている場合は、
管理会社が持っているフォームで作成されている場合が多いと考えらえます。
一度確認されると良いでしょう。
そして、それらの名簿をどのように活用するのかを
検討されては如何でしょうか。
そうすると、名簿に記載されるべき項目や
どこに備え、どう管理するのかも見えてくるのではないでしょうか。
見たこともなければ、案外悩ましい問題かもしれません。
お困りになった時は、管理会社だけでなく
マンション管理士にご相談いただくことも方法のひとつですし、
マンション管理センターの名簿に関する細則などを参考にされると良いでしょう。
年に一度の更新については、
毎年、組合員に対し変更がないか確認することも必要かもしれません。
この組合員・居住者の異動については、
「変更届」を受け付けた旨を理事会で報告しない管理会社もあります。
小職が携わる場合には、都度報告を受けることを助言することとしています。
このことに限らず、
マンションで起こっていることを知らないと
役員が判断できないと考えるからです。
マンションのことをもっと知ってもらう機会を増やすことも
マンション管理士の役割と考えています。
管理会社から、管理業協会の制度である
「マンション管理評価制度」の案内がなかったでしょうか?
制度を利用されるかどうかはさておき、
ここにも名簿について触れていると思われます。
この機会に名簿について考えてみてはいかがでしょうか。