マンション管理計画認定制度の認定基準には、
「管理者等が選任されていること」とされています。

管理者という言葉は普段聞くことが少ないように感じます。
みなさんの管理組合には管理者がいるのでしょうか。

マンション管理組合の管理者とはどういったものでしょうか
管理者については区分所有法に規定があります。

第25条・第26条には、「選任及び解任」、「権限」について、
第27条から第29条には、「管理所有」、「委任の規定の準用」、
「区分所有者の責任等」が規定されています。

第26条には、権限として以下のような趣旨の定めがあります。
「管理者は、共用部分を保存し、集会の決議を実行し、規約で定めた権利を有し、義務を負う。」

この規定からは、管理者とこのようなことを行う権限と義務のある者と読み取れます。
・共用部分、敷地、付属施設を保存する権限と義務
・集会(総会)での決議の内容を執行する権限と義務
・規約で定められた管理者の職務を行う権限と義務
その他、「区分所有者を代理する」、「区分所有者のために原告又は被告となることができる」などの規定もありますが、ここでは割愛します。

第25条1項には、管理者の選任・解任について、このように定められています。
「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。」
規約の定めがあればそれに従い、定めがなければ集会(総会)の決議によって選任または解任できると解釈できます。

「規約に別段の定め」とはどういったものでしょうか。

例えば、マンション標準管理規約単棟型(以下「標準規約」と表記)に準拠した管理規約があるマンションでは、
第38条2項にこのような規定があると思われます。
「理事長は、区分所有法に定める管理者とする。」

この規約の規定があるとすれば、
理事長を選任された管理組合には管理者が選任されていることになります。

そして多くのマンションでは、集会(総会)の議案として審議され、
理事としての承認を受けられていることと思われます。

また、標準規約では第35条3項において、
「理事長は、理事会の決議によって、理事のうちから選任」することになっています。
「理事の役職は理事の互選により選任する」といった旨の規約があるマンションもあるようです。

小職が携わる管理組合さんでは、
このような規約がある場合には総会後または引継ぎ時に理事会を行い、
総会承認と同様の理事の役職を追認決議し、議事録に残すよう助言しています。

管理計画認定制度の認定基準には「管理者等が定められていること」とされています。
その事前確認の事務ガイドラインに記載の確認書類には、
選任決議の集会(総会)議事録写し及び規約の別段の定めがある場合には、
管理規約の写し・管理者が選任された理事会の写し等とされています。
場合によっては、確認書類が準備できないこととなってしまうような気がします。

認定基準では管理者の選任が要件となっていますが、
区分所有法第3条では管理者を置くことができるとされており、できる=必須ではありません。
しかし、良好な管理組合運営のためには、
この役割を担う者が選ばれ、かつ実行する必要があるということだと思われます。

ただ、輪番や抽選などで理事長に就任され、管理組合運営に慣れていらっしゃらない方にはプレッシャーとなり大きな不安があるかもしれません。
そういった時には、運営ノウハウを持ち、理事長に寄り添ったサポートができるマンション管理士の支援を受けられるのも方法のひとつではないでしょうか。