滋賀県の廃墟となったマンションで、アスベストの飛散が報道され騒動になったことがありました。
そのアスベストに関する塗料メーカーのセミナーに参加してきました。
テーマは、マンションにも関係のある「建築物のアスベスト対策」「塗装に関するトラブルとその対策」です。

アスベストの使用されている箇所は、主にサイディングボードや断熱材とのことでした。
また、塗料にも含まれている場合があるそうです。
塗料の場合は、主剤と下地調整材がその対象です。

社会問題となったこともあり、建築基準法、労働安全衛生法、石綿障害予防規則、大気汚染防止法、廃棄物処理及び清掃に関する法律など、関連する法令は幅広くあるとの説明でした。

その後、事前調査と現場対応に関する講義がありました。
受注者若しくは自主施工者は、解体を行う前に、石綿含有建築材料の使用状況の調査が義務付けられています。
2006年8月までに施工された石綿含有仕上塗材の改修工事及び解体工事はその適用範囲となるそうです。

事前調査は、設計図書又は分析により行い、事業者は3年間記録保存の義務があります。
事前調査の結果を掲示することや、その結果により法令に基づく措置をする必要もあります。

ただ、設計図書からでは石綿含有の材料が本当に使われたのか特定できないケースがほとんどのようです。
分析は、塗料を建物から採取して行うのですが、これを行う場合にも飛散防止等の措置が必要です。
その費用負担は事業主の負担となることや、先述の記録保存など管理組合に求められることも多いので注意が必要です。

次の講義は、大規模修繕工事に関わる塗装工事後のトラブルと原因の検証です。

一つ目の事例は、鉄製の扉に塗装を行ったが、間もなく剥がれが生じたという事例でした。
この事例では、結露による密着不足が原因とされ、その対策として、施工の時期を選ぶ、結露が起こらない環境での作業をすることでリスクが減るとの説明でした。

二つ目の事例は、コンクリートへの塗装から褐色の垂れ染みが発生との事例でした。
褐色の垂れ地味というと、鉄筋の腐食による錆汁が流れ出すのが原因と思っていました。
この事例では、鉄筋の錆は見られず、塗装のひびから水分がコンクリートに入り込み、直接水がコンクリートに接触したことで化学反応があり、その結果、褐色の染みが現れたというものでした。
この現象が起こることは初めて知りました。そういえばこのような垂れ染みを見たことがあるような気がします。

塗装の躯体への保護機能について再認識しました、受講の価値があったと納得しております。
今後もできる限り研鑽に励みたいと思います。