『生きのびるマンション〈二つの老い〉をこえて』を読みました。
(山岡純一郎著)

「建物の老朽化」と「住民の高齢化」の二つの老いが進むことが、すべてのマンションという共同体に共通する運命であり、
新築され入居が始まった時点でこれが進んで行くとまえがきにあります。
もちろんマンション以外の住戸でも同様なのですが、区分所有建物(分譲マンション)であるがゆえの問題が多くあります。

これらに対し、取材例をもとに以下の5つの章に分け記されています。
第1章  何がスラムと楽園を分けるのか
第2章  大規模修繕の闇と光
第3章  欠陥マンション建て替えの功罪
第4章  超高層の「不都合な真実」
第5章  コミュニティが資産価値を決める

このうち、第2章「大規模修繕の闇と光の章」は、管理組合にとって、多額の費用をかける事業であることや、役員にとって負荷の高いと考えられる事業であることなどからも興味深いテーマです。
管理組合の役員さんは、ここに記された事実(?)について知っておかれても良いのではないかと感じました。

奈良県、京都市など行政が受け付ける相談やマンション管理士会の相談会などの相談員業務では、大規模修繕工事に関する相談の割合が結構多いと感じていました。

著書には、「セカンドオピニオン」、「コンサル」の言葉があります。
ここではコンサルの資質について記されていますが、セカンドオピニオンも同様であることを知っておくことが必要でないでしょうか。
アドバイスを受けたのち業者を紹介してもらえる場合などは、役員さんはとても楽でありがたいと感じます。
それが良いか悪いかは一概に言えませんが、気を付けるべきことがあるように思えます。
公平な第三者としての立場と考えを持ち、役員がどうしてその選択をしたのか組合員にきっちり説明できるコンサルティングをできる者がその資質を持つのではないでしょうか。

この章に限らず、分かりやすく表現されており、伝えることも業務のマンション管理士としてたいへん勉強になりました。